LOVESS
「どんな方面での解決を望んでいますか?」


今回、海宝さんはホスト時代のお客さんに、騙されていた、そのホストクラブに注ぎ込んだお金を返して欲しい、と訴えられているらしい。



「とりあえず、妻には知られなければ。
どうとでも」


そう、苦笑している。


「海宝さんの奥さんは、今回の事は知らないのですか?」


「そう。運良く。
ちょうど郵便局の配達員が来た時、妻は子供達と出掛けていて。
家には、俺一人だったから。
念のため、インターホンのモニターの録画も消去しといた」


「それは良かったですね」


訴状は、書留郵便で届くから。


この人本人ではなく、奥さんが受け取っていた可能性だってある。


以前、この人に一度会った時に、
この人の奥さんを見たけども、
少し気の強そうな印象を受けた。


なので、知られたくないのだろう。



「電話で海宝さんのお話を聞いた感じ、
裁判になって負ける事はないと思います。
向こうの弁護士も、そもそも海宝さんからお金が取れるとは思ってないでしょう。
着手金欲しさに、受けただけだと思います」


けど、この事が長引いたら、この人の奥さんにこの事が知られるかもしれないな。


と、なると、訴訟を相手に取り下げさせるのが一番かな?



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