LOVESS
俺は、目の前のコーヒーカップを手に取り、少し残っていたコーヒーを全て飲み干した。



「座れば?」


カップをテーブルに置くと同時に、
目の前の篤にそう声を掛けた。



篤は、眉間にシワを寄せ、
今の今迄海宝さんが座っていた椅子に腰を下ろした。



「この喫茶店、海宝さんから指定されたんだけど。
ベリトイの近くだった」


すぐそこに、篤の働くベリトイがある。


近く迄行く用があるから、って感じで、海宝さんは篤を呼び出していたのだろう。


ちょうど、一年振りか。


篤と最後に会って。


「斗希、最近どうだ?」


そう訊かれるけど、多分、篤は俺の最近の事を知ってる。


共通の友人知人の多い、俺達。


色々と、俺は篤の事を聞いてる。



「俺の最近は、穏やかな毎日だよ。
仕事はトラブルもあるけど。
えっと、成(せい)君だっけ?確か」


「え、ああ」



篤の所に四番目に生まれた、その子。


「聞いたけど、また五人目だって?」


現在、篤の奥さんの梢ちゃんは、妊娠中。


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