LOVESS
俺と篤、目が合うと気まずさを感じ、小さく笑い合う。
その気まずさは、今、楽しいと感じている自分達に対してだろう。
篤の方が先にスマホをしまい、席を立った。
「じゃあな、斗希」
「うん」
もしかしたら、また篤とは会うかもしれないし。
もう二度と、会わないかもしれない。
だけど、その存在はずっと死ぬ迄つきまとうのだろう。
お互い。
店から出て行く篤の背を見送り、
海宝さんが置いて行った書類の束を纏める。
このあと別件の登記の事で法務局へと行かないといけないから、
さっさと、この件を済ませておこう。
そう思い、席を立った。