LOVESS

「寧々…ごめんなさい…」


傷だらけのその一人がそう話し出した事で、
それが元旦那だと分かったのは、声で。


多分、もう一人が、あの元旦那の幼馴染みだろう。


それにしても、人間の顔ってこんなにも腫れるんだ。



「とりあえず、こいつは子供の親権手離す事に同意しました。
必要ならば、こっちの奴も、寧々の事嵌めた事を証言するみたいで」


そう高杉君が話すだけでも、
元旦那達はガタガタと震えていて。



「寧々、それでいいか?
まだ足りないか?
斗希さんには殺すな、って言われてたから、ちょっと痛めつけただけだけど。
こんなもんでお前の気は晴れないだろ?」


その高杉君の問い掛けに、首を横に振る。



「もう、充分。
充分だけど、まずくない?
こんなにも怪我させて、警察とかに言われたら?」


高杉君達もそうだけど、斗希さんや私も。


この人達が警察に駆け込んだら、色々と大変。



「それは、問題ない。
もし警察とかに訊かれたら、お互い殴り合った事にしとけ、って言い聞かせたから。
もし余計な事話したら、どうなるか…。
そこまでこいつらも馬鹿じゃねぇだろ?」


そう答える高杉君のそれは、再びその二人に言い聞かせるようだった。



「若、少しでも憂いがあるなら、
もうこいつら消してしまいましょうよ?」


その高杉君の組の男性の一人がそう言っていて、
さらにガタガタと元旦那達は震えていた。


「なぁ、寧々。
一回、瑛太の店に食べに行ってやれよ?
色々済んで、落ち着いたら」



再び高杉君の口から出た、瑛太の名前。


流石に、私も気付くけど。


けど、二年前に瑛太に会ったのもそれこそ十年以上振りだし、
そこから、もう二年以上会ってないし。


今さら過ぎない?

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