LOVESS



「はい。マルゲリータ。
後、このビールはサービス」


そう言って、私の目の前に置かれたマルゲリータと、グラスに入ったビール。


瑛太に笑い掛けられ、ちょっとドキっとしてしまった。


昔はこの人の事を、特に男性として意識した事なかったけど。


高杉君に昔の瑛太の気持ちを聞かされて、
単純だけど、ちょっと意識してしまう。


だけど、昔と違い私は、バツ1で子供が居る。


私は、母親。


恋や愛だとかで、浮かれていられない。


実際、またあの子と一緒に暮らせるようになり、瑛太の店に行ってという高杉君の言葉を、最近迄忙しくて忘れていた。


それを思い出して今日来たのは、
高杉君に恩があるから。



「どうしたの、難しい顔して?」


「えっ?」


知らずに、顔が強張っていたのかな?


「もしかして、高杉から聞いた?
俺が昔、寧々の事好きだった事?」


そうさらっと言われて、
変に意識していた自分が、馬鹿みたいと思った。


そう。それは、昔なんだ。


瑛太が私の事を好きだったのは、今ではない。

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