LOVESS
「それを知った上で、こうやって店に来てくれたって事は、
俺、ちょっとは期待していいの?」
「えっ?」
驚いて瑛太を見るけど、瑛太は相変わらず笑顔で。
からかわれているのかな?
「俺も大人になったのかな?
昔は寧々の顔見るだけでも恥ずかしくて、
まともに話せなかったのに。
今はさらっと口説けてしまう」
「えっ、でも。
瑛太、彼女とか居ないの?
それよりも、結婚とかしてないの?」
もう30を超えた私達。
近年は晩婚だと言っても、同級生の半分くらいはもう結婚しているだろう。
「独身だし、彼女も今居ない。
だから、どう?」
その感じが昔の瑛太と違い過ぎて、
本気なのか?冗談なのか?と戸惑う。
「昔、寧々に告白だけでもしてたら良かったな、ってずっと後悔してて。
だから、今、伝えたい事は伝えておこう、って。
だって、もう寧々に会えないかもしれないから」
そう伝えられた言葉は、本気なんだ、と思う程、私の胸にずんと沈んだ。
「瑛太、私バツ1で、子供居るの知ってるのに?」
わざわざ、瑛太ならそんな私を相手に選ばなくても、恋人なんてすぐ出来るだろう。
昔からそうだけど、瑛太はけっこうカッコいい。
「俺の父親…。
母親が再婚した方の義理の父親なんだけど。
本当にに良い人で。
その父親は、昔学生の頃うちの母親の事が好きだったみたいで。
だから、初婚なのにバツ1で俺や妹みたいな大きな子供の居るうちの母親と再婚して」
「あ、うん…」
それは以前、瑛太にバッタリ会った時に聞いていた。
だから、現在その義理の父親の姓を使っているのだと。