LOVESS
「うちの父親、本当に幸せそうなんだよ」
そう、瑛太自身も幸せそうな笑顔で言われて。
この流れで、バツ1だとか子供が居るからだとかの断りは、
もう何の意味もないのだな。
「けど、瑛太の妹…。
篤さんの奥さんでしょ…」
篤さんと親戚になるのは、何か嫌だ。
もう恨んでもなければ、今回の親権の件で感謝しているけど。
「篤さんが、ってより、寧々は斗希さんとあんまり関わりたくないんだろ?」
それに、ドキッとした。
「昔、斗希さんと寧々が一緒に居る所を見たって奴が居て。
なんとなく、寧々と斗希さんが何かあるのは分かる」
「うん…」
「後、篤さんと斗希さんが絶縁したんだけど、
それに、寧々が関係あるのかどうか…」
「それは、私は関係ないよ」
ハッキリと訊いた訳ではないが、
篤さんと斗希さんがお互い避けている事には気付いていた。
私のその親権問題とかで二人にはちょくちょく関わったが、
あの二人自体がそれで接触する事を避けているみたいだったので。
時期は同じくらいだけど、あの二人の絶縁の理由は、私が現れた事とは関係ないと思う。
「まぁ、篤さんと斗希さんは、この先どうなんのか分かんないけど。
一度、俺の事考えてみて?」
その言葉に、自然と頷いてしまった。
あ、と思った時には、目の前の瑛太は笑っていて。
「今度、娘と一緒にこの店に食べに来る」
そう言って手に取ったピザは、まだ熱々で。
それを一口齧ると、濃厚なチーズの味とトマトの味が口中広がる。
斗希さんが薦めてくれたのが分かるな。