LOVESS

「その龍斗君も、現実を知った方がいいでしょ?
うちの美麗に好意を抱くなんて厚かましいと、身の程を知れて」


あー、話すんじゃなった、とため息をつく。


娘が大好きなのは分かるけど、
親として人として、その言葉はどうなのかと思う。



「けど、美麗の好きな俊(しゅん)君は、
久志とは違った感じなんだよね。
ヤンチャな男の子って感じで。
まあ、将来かっこよくなりそうな顔してるけど」


「俊君?誰それ?」


箸を置くくらい、父親のこの人は不機嫌で。


「最近、美麗と仲良しな男の子」


「は?意味わかんない。
なんで保育園で、男の子と仲良くしてんの?」


この人の言ってる事の方が、意味分からないって。


そんな時、下の子が泣き出して。


私と久志の会話が中断される。



「未央さん、しんどいなら夜中俺がミルクあげておくけど」


「いいよ。
久志は明日も仕事だし。
それに、美麗と違ってこの子夜はけっこう寝てくれるから」

現在、育休中の私。


まだ生まれて1ヶ月しか経ってない、私達の第二子である男の子。


「そう。
涼雅(りょうが)はイイ子か」


そう目を細め、涼雅に笑いかける久志。


涼雅は、久志が名付けた名前なのだけど。


それは、私が大好きなミュージシャンから取った名前。

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