LOVESS
私が全てを知ったのは。


お腹の中に居た二人目の子供が男の子だと知った日。



「未央さん、その子の名前、俺が付けていい?」


久志に、今日の妊婦検診で性別は男の子だと思うと先生から言われたと、伝えた。


「いいけど、付けたい名前あるの?」


そう言うと、リョウガ、と久志はポツリと呟く。



「男の子だったら、涼雅って付けたい」


「涼雅…。
私はファンだからいいけど…。
でも…久志は…」


久志は、あまり涼雅に興味ないっていうか、
嫌いとかではないのだろうけど、避けているように思えた。


それは、私が涼雅のファンで、ヤキモチだと思っていたけど。



「俺、けっこう涼雅君、好きだったんだ」


そう言って、色々と話してくれた。



昔、涼雅が広子さんの彼氏で、同棲していて。


久志はそんな広子さんを通して、涼雅と仲が良かった事。



「昔、広子の誕生日、俺と篤君と涼雅君で祝って」


そう、懐かしさよりも、切なそうに語る。


それは、もう涼雅がこの世に居ないからだろう。



「俺と涼雅君は友達ってほど仲良くはなかったけど。
俺、けっこう涼雅君好きだった。
彼、本当にイイ子で。
広子に振り回されてる俺に気を使ってくれてた」


「やっぱり、久志は涼雅の生歌とか聴いた事あるの?」


少し、ミーハー丸出しで訊いてしまう。



「うん。電話越しと。
一度、2人で広子の部屋に居た時ね。
それは、オリジナルじゃなく。
えっと…マイケルジャクソンの子供の時の曲… I Want You Backってタイトルだったかな?」

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