LOVESS

「今日は、俺と広子の結婚式の二次会に集まってくれて、ありがとうございます」


人前で話すのが苦手な私と違い、成瀬は特に緊張した様子もなく、そうスピーチしている。


一応、立食のような形をとっていて、
みんな席に座らず立っている。


私は現在のスーパーでのアルバイト仲間が数名来ているだけで、
後の友達は成瀬との共通の知り合いばかり。

成瀬の方は、現在の成瀬の職場の人達もけっこう来ている。



「広子さん成瀬さん、おめでとうございます!
また今日の式の写真出来たら見せてくださいね!」


そう一番に言ってくれたのは、未央ちゃん。


この子は、ナツキを通して知り合った。


私じゃなく成瀬が先にこの子とナツキが一緒に居る時に鉢合わせたみたいで、その後色々と。


ホストを辞めて地元に帰ったナツキを追いかけ、そっちの国立大学に通う為に、未央ちゃんは今必死に勉強していて。


私と成瀬が、そんな未央ちゃんに家庭教師をしている。


「なんつーか、良かったよな。
やっぱお前は成瀬さんの横が似合うよな」


篤にそう言われ、最近もう考える事がなかったけど。


この人と付き合っていた時の事を、思い出してしまった。


「ありがとう、篤」


なんだか、妊娠中でホルモンバランスが崩れてるのか。


ちょっと、泣きそうになった。



「俺は、絶対篤の方が良いだろ、って思っていたけど。
やっぱ広子は成瀬さんなのかって」


そう言ってくれたのは、須田。


須田も篤と同じく私の元彼で、
篤と違い成瀬とそれほど知り合いってわけではないのだけど。

成瀬から、須田の事も呼んでみたら?と言われ、今回声をかけた。


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