LOVESS


「きっと、ナツキさんも広子と成瀬さんのこの日を知ってたら、祝福したと思うよ」


須田のその言葉に、うん、とそっと頷く。


ナツキ…。


彼もまた私の元彼で。


ナツキの名前が出て、未央ちゃんの表情が少し複雑そう。


音信不通になり、突然消えたナツキ…。


私以上に、未央ちゃんはナツキに会いたいはず。




「未央ちゃん。春にナツキとまた会ったら伝言して貰っていい?」


「広子さんから、ナツキに?」


「そう。"バーカ"って」


そう言うと、未央ちゃんはニコっと笑顔を取り戻し、


「絶対伝えます!」


力強く頷いてくれる。

未央ちゃんと再会出来たナツキの喜ぶ顔を、ぜひ、見てみたいな。



「つーか、未央。
お前から借りた参考書、ちょっと難しくねぇか?」


未央ちゃんに話し掛けているのは篤で。


そんな篤もワケあって、大学受験をする事となり、
無事、大検をパスし、今は受験真っ只中。

篤の家庭教師も私と成瀬が時々していて、
その繋がりで、未央ちゃんと篤もまた仲良くなった。

同じ、受験生。


「篤君、理数系は凄く出来るのに、現国とか苦手だよね?
もうそっち落として、理数に力入れたら?
ほら、英語と数学の2教科で受けれる大学や学部とか」


「んー、斗希もんな感じの事言ってたけど。
英語がなぁ…。
斗希は、日本語より英語の方が簡単だとか言うんだけど。
俺は日本語より、英語の方が向いてるとか」


「うん。
篤君そのタイプだと思う」


篤は悩まし気に、その後もんー、と唸ってて。


煙草吸って来る、と店の外へと出て行った。


一応、この店喫煙オッケーなのだけど、
私が妊娠しているからか、誰も店では吸っていない。

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