LOVESS

「べつに、二葉君に関係なくない?
それより、二葉君が来るなら、俺は来なきゃ良かった」


そう言う三咲さんは、むすっと不機嫌そうで。


え?兄弟仲悪いの?


さっき迄、そんな感じの事言ってなかったじゃない!


「は?だったら、お前もう帰れ」


「は?二葉君が帰れば?」


ってか、兄弟喧嘩が始まってる?




「まーまー。
今日は俺と広子とのめでたい日なんで。
二葉さんと三咲も、今日は1日仲良くしてくださいよ」


そう成瀬が言うと。


「仕方ねぇな」


って、二葉さん。


「分かった」


そう三咲さんもで。


なんとなく、この兄弟本当はとても仲良しなのだろうな、と思った。


なにかしら、そうやって素直になれない理由があるだけで。



「そういや、成瀬。
前にお前から貰ったあのチケットの映画、すげえつまんなかった。
俺、つまらなかったら殺すって言ったよな?」


その二葉さんの成瀬を睨みつける顔は、ヤクザそのもので。



「あ、それはすみません。
いや、俺もあれ後から観て、ちょっとなぁって。
あの時一緒に居た、二葉さんの彼女にも謝っててください」


へぇ、この人ヤクザなのに彼女とか居るんだ。


いや、ヤクザでも彼女とか居るか。


ただ、ヤクザの男と付き合う女性って、なんというか、凄いな。


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