音のないこの世界で
僕はその場から一刻も離れたくて智を急かすようにそう言った。
「この辺でいいか!見やすいし。」
僕らは最前列を確保出来た。僕らの隣にカバンを置いて1人分の席を確保しておく。
「いやー楽しみだな!」
「昨日聞いたんじゃなかったのか?」
確か昨日最終確認したはず。そう思ったが麗音が僕の考えてることと同じだった。
「いやー、それがさ麗音がさ。明日みんなには聞かせたいって言うから俺らも聞いてないんだよな。最後に聞いたのも二週間くらい前だし。」
最後の方は僕だけじゃなくて智達も聞いてなかったのか。
「…そうなのか。じゃあ完成したのはみんな初めてって訳か」
「ああ。そうなるな!いやー楽しみー!最後に聞いたので完璧だったから今じゃ完璧超えてるだろうなぁ」
完璧を超える、という意味が分からなかったがスルーした。
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