音のないこの世界で
僕は知っている。耳が聞こえないと自分が出した声の音が正しいのか分からなくなるのだ。小学生の頃にも耳の聞こえない男の子がいたから分かる。
僕はすぐに返信をする。
『平気だよ。こっちこそごめんね。あと声、変じゃないし、綺麗な声だったよ』
気を使った訳では無い。本当に麗音は綺麗な声をしていた。まるで、歌手や声優みたいな声で透き通っているし、ずっと聞いていたい。そんな声だった。
麗音にLINEを送ると、何かを考え込みながらLINE僕に向けてのLINEを打っている。少し待つと返事が来た。
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