音のないこの世界で
「違う違う。たまたまだよ」
「そっかー、確かに今朝のテレビででっかく取り上げられてたしなー」
そこで、授業開始のチャイムがなった。僕からしたらナイスタイミングだった。なんのアイドルの話か分からなかったから、テレビで見ている設定になっている僕は、これ以上深堀されると困るのだ。
「やべ!生物の準備してなかった!」
そう言って、智は後ろのロッカーへと向かった。
一安心して、僕はそっと胸を撫で下ろす。
そして僕の場合は、今日の授業の教科書は全部机の中に入っているからロッカーまで取りに行く必要は無い。僕は用意周到なのだ。
1時間目から生物はとにかくだるい。気持ちだけでなく体もだ。
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