音のないこの世界で
なんせ、板書が多くてノートが追いつかない。
ノートに書くことで手一杯だから、頭に入らないからやる意味が全くないとは思うし、結局家で復讐しないといけない羽目になる。
そんなことを考えてたら生物の井上先生が教室に入ってきながら、
「今日の宿題やったかー」
教室が少しざわついて「やべ、やってねー」と慌てている声がちらほら聞こえた。
僕はきちんとやっているのでそんなに慌てる必要は無い。
井上先生は教卓の前に立つと、
「まあ、とりあえず出席をとりまーす」
そう言って辺りを1周見渡して、
「みんないるな。よし。号令」
号令係の人が「気をつけ。礼!」と元気に挨拶をして憂鬱な生物の授業が始まった。
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