冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
足が痛いのを我慢したり、お腹すいたことを言わなかったり、とにかく辛抱強い澪を、自分の手で甘やかしてやりたいとも。
そんな矢先。あの事件が起こった。いつも冷静沈着な澪が、雨の中傘もささず泣いていたのだ。
匠馬は汚れるのも気にせず車から飛び降りた。そして震える澪を自宅へと連れ帰った。
不謹慎だが雨の中で泣いている澪はすごく綺麗だった。ぽたぽたと前髪から雫を垂らし、シャツは透け、血の気を失ったような青白さ。
目はうつろで、なんだかひどくなまめかしく見えたのだ。
「すみません、社長……」
謝る彼女に、気づいたら手を伸ばしていた。
(抱きたい。彼女が欲しい)
自分でもどうかしていると思った。だが止められなかった。
「んっ……しゃ、ちょっ……」
(俺を男としてみろ)
強引に口付け、ベッドに押し倒した。
(あんな男のことなんて、忘れてしまえ)
そんな想いで澪を抱いた。
隅々にキスを落とし、澪の緊張を徐々に解いた。華奢に見えたが、女らしい体のラインは美しく、匠馬が触れる度、甘い声で啼いた。