冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~


それから二人で街をぶらりとし、プレゼント攻撃をした。女性を口説いたことがない匠馬は、他にどうしていいか思いつかなかったのだ。

我ながら陳腐で単純なアイディアだと失笑したが、澪は喜んでくれたようで、その姿に、匠馬はホッとしていた。

もっともっと澪を甘やかしたい。自分だけを見てほしい。匠馬の中で、その想いは日に日に募っていった。

だが澪が匠馬に気持ちを返すことはなかった。ネックレスを突き返され「社長だから好きだった」と言われたときは、何もかも捨てたくなった。

地位も名誉も、家もなにもかも……。

欲しいのはただ一人。澪だけなんだ――。


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