冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
「彼女との縁談は断った」
「おいおい、いいのかよ。マジでお前やばいぜ。バカだなー。まさか好きな女とじゃないと結婚しないとか言うなよ? 無理無理。俺らにはそんな道ねーんだよ。適当に結婚して、好きな女は愛人にしておくほうが賢明だと思うぜ」
「黙れ」
(こいつの話を聞いていると耳が腐りそうだ)
「人のアドバイスはちゃんと聞くもんだぞ。これだからお前はダメなんだよ。だいたい最初からお前
は社長の器じゃない。まぁ、せいぜい神様にでも祈ってろよ。じゃあな」
片手をポケットに突っ込み、ひらひらと手をふりながら行ってしまった。その背中を匠馬はじっと睨んでいた。
(痛い目をみるのはお前のほうだ景道。バレていないと思ったら大違いだ)
匠馬の背中に、青い炎が灯った。