冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
「娘と孫をよろしくお願いします」
光江もまた、床に頭をつけ、深々と頭を下げていた。光江がいなかったらここまで強くいられなかった。
一番辛い時に、一緒にいてくれた光江には感謝しかない。一緒にすごした時間は、澪にとってかけがえのない時間になった。
「ありがとうお母さん。私、お母さんがいなかったら……」
「何言ってるの。あなたももうお母さんでしょ?」
優しく頭を撫でられ、また涙が溢れる。
「うん……また来るね」
「いつでもいらっしゃい」
真っ赤な紅葉が咲き乱れる11月、三人は光江に見送られ、東京へと帰って行った。