冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
「あー俺? 俺は親父に無理やり連れてこられて。でも退屈で」
ははっと笑う誠に虫唾が走る。やはり誠は和フーズの子息なんだ。まさかこんなところで繋がっているとは思わず、胃にキリっと痛みが走る。
「あ、そうだ。この前はごめんね。知らないとか言っちゃって。あの子すげー嫉妬深いからああするしかなくて。ていうか、澪さん、今日なんか雰囲気違うね。一瞬わかんなかったもん。すごく綺麗」
ふと手が伸びてきて、思いっきり弾いた。
「触らないでください」
「そんなに怒らないでよ。てかまじ綺麗。そうだ。今から二人で飲み直さない」
「嫌です。それに仕事で来ておりますので」
きっぱりと言うが、なぜか誠は諦めようとしない。さらにぐいぐい迫ってくる。
「そんな堅いこと言わないでさ。あ、そうそう。あの時のお金返せそうなんだ」
「え?」
思わず、誠を二度見する。誠はにやりと笑った。
「ずっと気になってたんだよね。今すぐ返すからさ、着いてきてくれる?」
「どこへですか?」
「いいから、いいから」