冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
誠に下心があるのはよくわかった。絶対に入ってはいけないパターンだ。そのくらい澪もわかっている。中に入れば何されても文句は言えない。
「もしかして何かされるとでも思ってる? やだなー、そんなことしないって」
「お互いの保身のためです。何もされていないのに、私が林田さんに襲われそうになったと嘘をついたらどうするのですか。冤罪を晴らすのはかなりの労力が必要ですよ」
淡々と言えば誠は、ぐっと唇を噛んだ。
「かっわいくね」
そしてぼそっと呟いていた。だがその声は澪に届いていた。とはいえその類のセリフは言われ慣れている。今さら動揺なんてしない。
「見た目が変わっても中身がそんなんじゃ一生結婚なんてできないぜ。俺がせっかくもう一度考え直してやろうと思ったのに」
「けっこうです。こちらから願い下げです」
「本性出したな。男を舐めたらどうなるか思い知らせてやる……!」
乱暴に肩を掴まれると、中に引きずりこまれる。
「きゃっ……何するんですか」
「ほら、こいよ」