冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~

「ごめんね急に呼び出して」
「いえ。大丈夫です。ところでお話って……?」

誠とこうやって面と向かってしゃべるのは3回目。恋愛雑誌によれば、プロポーズは早ければ3回目のデートでもありうると書いてあった。

少し早い気もするが、誠はいい人だし、澪が結婚するとなれば光江もきっと喜ぶだろう。そんな想像をしていると、心臓がドキドキしてきた。

「あのね。実は……」
「う、うん」

ここは「はい喜んで」と返事をすべきか。それとも「私でよければ」と返すべきか。澪は頭の中で予行練習をする。

「お金。貸してほしんだ」
「はい、喜んで……えっ?」

思いがけない要望に、フリーズしてしまう。

(今、なんと……?)

「ごめんね。いきなりこんなこと頼んで」
「あ、いえ、ちょっとビックリしてしまって」
「そうだよね。本当にごめん」
「あの、もしよろしければ事情を伺えると」

肩を落とし、今にも泣き出しそうな誠に澪は優しく声をかける。

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