冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
店から勢いよく飛び出してきた匠馬が、澪を探しているのが見えたが、幸い見つからずに済んだ。
辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうだった。涙は止まることを知らないかのように流れ続けた。
(だけど大丈夫。私にはこの子がいる)
そっとお腹を撫でると、ふわっと温かくなった気がした。きっと、頑張れと言っているのだろう。
「ありがとう。ママ頑張るね」
これからはこの子と二人で生きていく。何があっても守り抜く。
小さな命が、澪を強くした。