冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
プロローグ
六月の花嫁は幸せになれる。

いわゆる〝ジューンブライド〟は、ヨーロッパの言い伝えなのだそうだ。

今日は、梅雨の合間の奇跡の晴天。

それだけで、やっぱり幸せと頬が緩む私、新見七緒(にいみななお)は浮かれているのかもしれない。

森の中にたたずむかわいらしい教会『ローズパレス』の祭壇の前で、私の隣に立つのは、夫となる八木沢彬(やぎさわあきら)さん三十三歳。

私より頭ひとつ分大きな彼は、スポーツはなんでもこなすというだけあり、華奢に見えるが筋肉質。

ゆるいパーマがかかっている黒髪は清潔感があり、黒目がちな目は凛々しく、鼻筋も通っている。

何度かモデル事務所にスカウトされた経験があるという彼は、実は弁護士というお堅い職業に就いている。


「新郎、八木沢彬は新見七緒を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも――」


牧師さまの問いかけに、彬さんは少し低めの張りのある声で「誓います」と答える。

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