冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
毒舌のせいでカチンとくることはあれど、八木沢さんのことは嫌いじゃない。

いや、ふたりで過ごす時間が心地よくて、正直あこがれている。

毎週、よくこんなに散らかせるなとため息の嵐ではあるけれど。


ためらいながら答えると、離れた彼はにやりと笑った。


「それじゃ、決まり。俺、今日遅くなるから先に帰ってろ。引っ越しはおいおいするが、とりあえず必要なものは持ってこい」


彼は内ポケットからマンションのカードキーを取り出して、私に差し出す。


「ちょっと待って……」


結婚って、そんなに簡単に決めるものなの?


「今さら取り消させないぞ」


彼はもう一度内ポケットに手を入れると、ボールペンを取り出した……と思ったら。


『七緒は俺と結婚するのは嫌?』
『嫌じゃ、ないですけど……』


彼がなにか操作をすると、私たちの声が流れる。


「なにこれ?」
「ボイスレコーダー。商売道具のひとつだな。七緒は結婚を承諾したんだ」
「なにして……!」
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