冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
彼女の大きな目から涙があふれ出した。

いちいち感情が大きく揺れ動く彼女が、かわいくてたまらない。

どんな厳しい訴訟でもポーカーフェイス。
たとえ窮地に陥っても、動揺を見せては相手の思うつぼ。
笑いたくもないのに笑みを浮かべて余裕を示し、精神的に優位に立たなければならない。

そんなことを繰り返していると、自分の感情がよくわからなくなる。

だからか、彼女のように泣いたり笑ったりと忙しいのがうらやましくもあり、魅力的だった。

七緒と出会ってから、俺自身の心も激しく揺れるようになった。

彼女をどうしても手に入れたいと必死に画策したのがいい例だ。

少し前の俺なら、そんなみっともないことはできないと行動できなかっただろう。

その行動が正しかったかどうかは置いておいて。


「俺がお前を幸せにする」
「……はい」


彼女の返事が聞こえた瞬間、桜色の唇をふさいだ。

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