冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
その会社側の代理人となる顧問弁護士は、世間を敵に回す事態になる可能性もある。


「お断りだ」
「電話するんだ。悪いけど出ていってくれ」


俺が受話器に手を伸ばすと、九条は小さくため息をついてから出ていった。


受話器を一旦置いて、窓まで行きブラインドを指で押さえて隙間から外の様子をうかがう。


「ひどくなってきたな」


朝からしとしとと降り続く雨は、俺が事務所に戻ってきた頃、激しくなりだした。


「七緒……」


彼女はもう帰宅しただろうか。


「許せ」


妻を守るのが夫の使命。
もちろん、彼女のことは全力で守るつもりだ。

しかし、西岩建設の顧問弁護士になるために、俺は弁護士になったのだ。今さら引き下がれない。

窓にたたきつけるように激しく降る雨を見ていたら、七緒の泣き顔が頭に浮かんだ。

やっぱり、雨は嫌いだ。
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