冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
でも、両親はこのあと亡くなってしまったのね……。

まだ幼いのに残酷だ。
小さな頃から親戚の家に預けられて過ごしたなんて、とんでもない苦労をしてきたんだろうな。


「パパを幸せにしなくちゃね」


私は大きなお腹に向かって話しかけた。

幼少期、両親の死というつらい経験をした彼は、その後もきっと順風満帆だったわけではないはず。

それなのに特待生として学校に通い、自分の未来を自分で切り開いたすごい人なのだ。

私は彼の妻であるのが誇りだし、この先を一緒に歩いていけるのがうれしい。

彬さんを信じると決めてから、周囲がざわついていても取り乱さなくなった。

ただ、批判の的になってしまう彬さんは心配だ。


「パパ、大丈夫だよね。……あっ」


もう一度話しかけると、赤ちゃんがお腹を蹴った。


「大丈夫って言ってる?」


私はお腹の子を頼もしく感じた。
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