桜色オレンジ
秘密
「…っえ?」
わたしは目を疑った。
ある日の放課後、校舎裏にて。
優等生と呼ばれている同じクラスの男の子が、子猫と戯れている────
そこまでなら、良かった。
彼の右手にある『モノ』にさえ気付かなければ。
これは夢か何かかと思って自分の頬をつねってみるけど、痛い。からどうやら夢ではないようだ。
彼に気付かれないようにその場から逃げようとしたのに。
── パキッ
なんてタイミングの悪い。足元の小枝を踏んでしまった。
その音でもちろん彼もこちらに気付く。
「わお、見つかっちゃった」
"見つかっちゃった"って言うわりには全然彼には焦った様子がない。むしろ見たわたしが悪いみたいな感じまである。
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