桜色オレンジ




「ちょっと椎名さん借りてもいいかな?」



「もちろん!!どーぞどーぞ!!!」



助けて欲しかったのにクミちゃんは楽しそうに両手で手を振って送り出されてしまった。



桜庭くんに手を繋がれて教室を後にした。
夏だというのに桜庭くんの手はなぜか冷たかった。







連れてこられたのはひとけがあまりない3階の屋上へ繋がる非常階段のところ。



「昨日はごめん、少し気が立っていたんだ」



やっと繋がれてた手が離されたと思ったら桜庭くんが深々と頭を下げた。



「…気が立ってたからって、わざわざキスなんかしなくても良かったじゃん……」


「うん、だからごめん。でも椎名さんだって昨日おれのこと叩いたよね?」


「そ、それは…」


「あれマジでけっこー痛かった」



人格が変わったんじゃないかっていうくらいの豹変ぶり。
目の前に居るのはほんとうに桜庭くんなのか疑ってしまった。


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