桜色オレンジ
「元気そうで良かったわ、さあ行きましょう」
お母さんもそう言って反対の腕を掴む。
紫花も笑顔でわたしの背中を押す。
「やめないか!桃花が嫌がってるじゃろう!」
おじいちゃんの声も届かず車に無理やり乗せられてしまった。
嫌だ、行きたくない。帰りたくない。
「やっ…!」
「桃ちゃん、せっかく迎えに来てあげたんだからもう少し喜んでよねー?」
喜ぶ…?わたしは会いたくなかったのに。
しばらく車が走り、2度と帰ってきたくなかったこの家に戻ってきてしまった。
「…」
「さっ、桃ちゃん行こっ!」
紫花に手を握られ、思い足取りで家に入った。
「あー懐かしい!やっぱりここが1番!」
紫花は嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねている。
人の気も知らないで…。