桜色オレンジ
「なに?奏橙くん」
紫花を腕から離した。
「僕、桃花ちゃんと付き合ってるんだ。
.....だからもうこういうのはやめて欲しい。」
「……。」
「…紫花ちゃん?」
「…なーんだ、そうだったんだ!知らなかったぁ〜!
もー桃ちゃんもそれなら早く言ってよねぇー!」
奏橙くんが一瞬ホッとしたような顔をしていたけど、違う。
これは奏橙くんの前だからいい人を演じているだけ。
"早く言ってよねぇー!"と言いながらわたしの方を見た時の紫花の目は笑っていなかった。
「ごめん、なかなか言い出せなくて」
「え〜いつから付き合ってるのぉー?」
「…夏休み、から」
「へぇ〜そうだったんだぁ!おめでとーう!」
2人が話せば話すほど、わたしは胸が苦しくなっていた。
この後家に帰って、なんて言われるのか。