桜色オレンジ
奏橙くんとわかれて、家に帰るまでお互い無言だった。
それが何より恐怖だった。
家に着いて、部屋に入った時のことだった。
「桃ちゃん、奏くんのこと好きだったんだ。
実は私も奏くんのこと好きなんだぁ。
ねぇ、桃ちゃん。奏くんを私にちょうだい?」
「…え?」
一瞬何を言われてるのか分からなかった。
"ちょうだい?"って、なに?
「ずっと、奏くんに釣り合う女性になる為に頑張ってきたの。その為に海外にまで行ったんだから。」
「…っ」
「それなのに戻ってきたら桃ちゃんと付き合ってるとか、ありえない。信じられないよ。私の方が絶対奏くんに合うよ!ねっ、桃ちゃんもそう思うよね?」
紫花の圧に負けそうになった。
だけど、奏橙くんはわたしのことを"好き"って言ってくれた。