桜色オレンジ
「…っ、それは出来ない。」
「どうして?」
「わたしだって、奏橙くんが好きだもん。
奏橙くんはわたしが好きって言ってくれた…」
「…違うよ桃ちゃん。それはね、きっと私が居なくて桃ちゃんが良く見えちゃっただけなんだよ。私が居れば私の方がいいって絶対思うもん。」
「…そんなことない!」
わたしが少し大きな声を出すと、両親がすぐにやってきた。
「何を騒いでいる!?」
その声と同時に紫花が涙を流し始めた。
自分の姉ながらすぐに嘘泣きが出来る演技力に驚いた。
「…うぅ私奏くんの事が好きだったんだけど桃ちゃんと付き合ってるから振られちゃった」
「なんだと?桃花!なんで紫花が好きだと言ってるのに渡さないんだ!」
──パンッ
部屋中に乾いた音が鳴り響いた。
その音がなんなのか、頬に感じる痛みはなんなのか、それを理解するのに時間がかかった。