桜色オレンジ


次の日の放課後、桃花ちゃんが先生に呼ばれていたから僕はこっそりついて行った。


「椎名さん、第1希望が南高となっているけど何かの間違い?」

「…いえ、間違いじゃないです」

「どうして?椎名さんなら北高くらいのところなら行けるのに…」

「…」


その後桃花ちゃんがなんて言ったのかは、聞こえなかった。
だけどその理由のひとつが僕であることには間違いない。


「…っ、奏橙くん」


その場に立ち尽くしていて、教室から出てきた桃花ちゃんと会ってしまった。


「…」


その後桃花ちゃんは何も言わず帰ってしまった。


そして僕は無意識のうちに、第1希望の高校を東高から南高に変えていた。
忘れなきゃいけないのに、諦めなきゃ行けないのに。
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