桜色オレンジ
「じゃ、休憩行こ」
桜庭くんに手を引かれ、歩き出した。
今日は少しだけ、手があったかかった。
「椎名何食べたい?」
「どうしようかなー、あ、じゃがバター食べたいかも」
「じゃあ確か3年生の出し物であった気がする。行こっか」
「うん!」
桜庭くんと階段を降りていった時のことだった。
「──── 桃ちゃん?」
まさか、この人がここにいるなんて。
「す、紫花……?」
「やっぱり!桃ちゃんだ!」
車椅子を自走して、階段の方へ近付いてきた。
心臓が、変な音を立てている。
「もー、桃ちゃんてば全然会いに来てくれないんだもん寂しかったんだよ?」
「…」
「それに奏くんも最近来てくれないし、だから会いに来ちゃった」