桜色オレンジ
「…」
「…あ、あの、ごめんなさい」
桜庭くんが頭を抱えたまま、黙ってしまった。
どうしよう、どうして黙ったままなんだろう?
「桜庭くん…?」
「椎名」
「っ、は、はい!」
「おれとデートしよ」
「…は?」
急に立ち上がったかと思えば、デートって。
しかもなんでわたしなんかと??
って思ってしまう自分もいれば、
桜庭くんだったらどこに行くんだろうって考えてしまうわたしもいる。
そんなことを考えていた時だった
「…いいよ」
なんて、言ってしまうなんて。
気付いた時には桜庭くんが目を見開いて驚いていた。
「え、椎名今……」
「いや、えっと、あの…その。」
「なに?」
「……次のテストで、奏橙くんに勝てたらいいよ」
なんていかにも後付な言い訳を言ってしまった。