桜色オレンジ



「…」

「…」


お互い沈黙が続く。
えっと、どうしよう。


「…分かった。その言葉忘れんなよ」

「、え?」


一瞬悩んだような表情をしたかと思えばすぐに笑顔になった。
自分で言っといてあれだけど、奏橙くんに勝つのは難しいと思う。


確か全国模試で10位内に入っていたような気がするし…。




─── そんなことを思いつつ、桜庭くんに勝って欲しい、なんて思ってしまうわたしもいる。



わたしは結局どうしたいんだろう。どうなりたいんだろう。



「椎名、どこ行きたいか考えといて 」

「…、うん」

「あの、さ」

「うん?」



桜庭くんがまた、少し険しい表情をした。



「辛い時はさ、おれを利用していいよ。それで椎名が楽になるなら」

「…」


どうして、どうして桜庭くんはそんなに優しいの?

< 152 / 185 >

この作品をシェア

pagetop