桜色オレンジ
「…」
「…」
お互い沈黙が続く。
えっと、どうしよう。
「…分かった。その言葉忘れんなよ」
「、え?」
一瞬悩んだような表情をしたかと思えばすぐに笑顔になった。
自分で言っといてあれだけど、奏橙くんに勝つのは難しいと思う。
確か全国模試で10位内に入っていたような気がするし…。
─── そんなことを思いつつ、桜庭くんに勝って欲しい、なんて思ってしまうわたしもいる。
わたしは結局どうしたいんだろう。どうなりたいんだろう。
「椎名、どこ行きたいか考えといて 」
「…、うん」
「あの、さ」
「うん?」
桜庭くんがまた、少し険しい表情をした。
「辛い時はさ、おれを利用していいよ。それで椎名が楽になるなら」
「…」
どうして、どうして桜庭くんはそんなに優しいの?