桜色オレンジ



「誰かさんが勝てたらいいよとか、煽るから」

「あおっ…そんなことしてないもん」

「言っとくけど、おれ本気だからね?」

「…っ」


そんなこと言われたら…、何も言えなくなる。
桜庭くんはどうしてわたしとデートしたいんだろう?



わたしなんか、可愛くもないし良いところもないのに。



「…もし、これで櫻に勝てなかったら、諦めるよ」

「なにを?」

「……。デートを」



桜庭くんが一瞬言葉を詰まらせたような気がする。
結局話してる最中、桜庭くんは1度もわたしの方を見なかった。



*





*




テストまであと2日。
珍しく6時限目の自習時間に桜庭くんが机に突っ伏して寝ていた。


休み時間もずっと勉強していたから、そりゃそうだよね。

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