桜色オレンジ



連れて来られたのは、駅の近くにある古びた個人病院らしきところ。


「失礼します」


ドアを開けると、ベッドに誰かが寝ていた。
その隣には、黒髪の男の子が座っていた。


「あぁ、橘か。ってことは隣は椎名…さんかな」

「はい、それで桜庭は……」

「大丈夫大丈夫、今は寝てるだけだから」


状況が読めないでいると、黒髪の男の子がわたしの方を見て近くにあったイスに座るように言った。


「橘、椎名さんと話したいから席を外してくれる?」

「分かりました」


そう言って橘くんは部屋から出ていった。
この人は一体誰なんだろう?どうしてわたしの名前を…?



「初めまして、七瀬碧と言います」

「七瀬……あ!」


前に桜庭くんに電話を掛けてきた人だ…。
ほんとうに男の子だったんだ…。
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