桜色オレンジ
「以前電話した時に椎名さんに女の子と勘違いされて大変だったって言われたんだよね、その節はごめんね」
「あ…いえ、わたしの方こそすみません……」
「ところで、椎名さんは橙樹のことはどこまで知ってるんだっけ?」
───"橙樹"
その呼び方に、2人がほんとうに仲がいいのが分かる。
「桜庭くんのことは、えっと、父親違いの双子の妹さんがいるって……」
「うん、そこまで知ってるなら大丈夫だね」
「と言いますと……?」
七瀬さんは一瞬桜庭くんの方を見た。
よく見ると桜庭くんは頭に包帯を巻いて眠っていた。
「実は、南高の文化祭のあと、橙樹の両親が"しま"に本当のことを話したらしいんだ」