桜色オレンジ
桜庭くんがゆっくりとわたしから離れた。
「椎名、いろいろと心配かけてごめん。
……おれと、付き合ってくれませんか」
「…わたしのこと、好き…なの?」
「うん、好きだよ煙草見られたあとくらいからずっとね」
それって結構最初の方じゃ…!?
なんて考える間もなく、桜庭くんの顔が近付いてきた。
「……返事は?」
恥ずかしくなって、頷く事しか出来なかった。
「おれには言わせるくせに、椎名は言わないの?」
「〜〜〜っ!…す、すき…で、す」
「じゃあ、おれと付き合ってくれる?」
「…は……んっ」
返事をする前に、唇が重なった。
「……好きだよ、桃花」
病室の窓から見えたのは、薄らとピンクがかったオレンジ色の夕焼けだった。
桜色オレンジ Fin.