桜色オレンジ




「椎名桃花さんだよね、少し話をしようか。こっちに来て」



さすがクラス委員をやっているだけある。
全然話していなくてもわたしのフルネームを知っている。



椎名桃花(しいなももか)って言うのは、わたしの名前。
わたしを今呼んでいるのは、
同じクラスの桜庭橙樹(さくらばだいき)くん。



「…お断り、します」



「…ふぅん」



気が付けば桜庭くんが目の前に立っていた。



「っえ、桜庭くんいつの間に…!!」



「お断りしますって言うまでの間ボーッとしてたから、聞こえなかったのかなって思ってさ」



「き、聞こえてます、すみません」



「うん、でさ、椎名さんはさっき何も見てない。そうだよね?」



急に顔をぐっと近付けられて、桜庭くんがわたしの瞳を捉えた。近くで見ると、綺麗な顔してる…



じゃなくて!!


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