桜色オレンジ



「桜庭くん、さっき、煙草吸ってた……」



「なんのこと?ほら、おれ今何も持ってないよ」



桜庭くんが両手をヒラヒラさせている。
確かに、何も持ってない。



「う、嘘だわたし見たもん…、子猫撫でながら吸ってたじゃん……」


「なんだガッツリ見てたんだ?」



見てたっていうか、見ちゃっただけなんだけど。



「そんなことより椎名さんは何でこんなところに来たの?」



「……それは」



「それは?」



桜庭くんがさっき撫でていた子猫に会いに来た…っていうだけなんだけど。



「言えないの?」



「……そういうわけじゃ、」



「まあ元々校舎裏は人が来て良いところじゃないしねー、ってことで」



「え、……んっ、」



不意に、唇が塞がれた。一瞬のことで抵抗出来なかった。




「……これで椎名さんは共犯ってコトで」

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