桜色オレンジ
「わたしポトフにしようかな…、あったかそうだし」
「いいねいいね、あたしどうしようかなー?」
料理を待っている間、わたしが保健室に行ったあとのことを教えてくれた。
「桜庭がさ、マジメに授業受けてノートしっかりとってたよ。あれは絶対桃花の為だね」
「えぇ…桜庭くんがわたしのため?」
「ていうか桃花本当に桜庭にパシリにされてるの?」
「うん?うん、だって奏橙くんにバレたら困るし……」
困る、そう困るよ。
だって今日断ったばっかだもん。
「……あの人とはどうなってるんだろうね」
あの人。紫花のこと。
「あの人は東高校だっけ?」
「そう、奏橙くんもそこに行くはずだった」
東高校、そこはここら辺では一番偏差値の高いところ。
普通の人じゃなかなか行けないっていうところだけど、奏橙くんはそこに行けるほどの実力はある。
ほんとうなら、奏橙くんはそこに行くはずだった。
───紫花と一緒に。