桜色オレンジ
「なんでこんなとこ1人でいんの」
「さっきまでクミちゃんといたんだけど…方向逆だしわたし電車だから駅に向かってるとこで…」
「ここさぁ、治安悪いとこだって知ってんでしょ」
「…ごめんなさい」
反応が無かったから聞こえてないと思ってもう1回言おうとしたら、桜庭くんの腕がわたしの背中に回った。
「…えっ?」
「怖かったでしょ」
「……、うん」
桜庭くんのシャツからはオレンジのような、甘い香りがした。
桜庭くんに手を引かれ、公園に向かった。
「ちょっと待ってて」
そう言って桜庭くんは公園の入り口にある自販機へ向かった。
お金を入れてボタンを押したかと思ったら、次の瞬間自販機へ華麗な蹴りを1発……
取り出した飲み物を持って、戻ってきた。