桜色オレンジ
意外に桜庭くんはあっさり離れてくれた。
「今日は拒否らなかったね」
「断んないでって、言ったの桜庭くんじゃん」
「でもほんとに断らないとは思わなかった」
う…確かに流されてしまった。
ほんとうなら断るべきなんだけど。
「……、さっき椎名がおれの為に泣いてくれたのが嬉しくて、つい」
「それは…」
自分と重なる部分があったから、それで思わず泣いてしまった。
桜庭くんの気持ち、少しなら理解できるところがあるし。
「そろそろ帰ろっか、電車通学なんだっけ?駅まで送る」
「…え、でも桜庭くんは?」
「おれはここら辺に住んでるからへーき」
桜庭くんに手を取られ駅の方へ向かった。
その時に気付いたのが、桜庭くんの耳にピアスが付いている。
「…桜庭くん、ピアス……」