桜色オレンジ





お昼休み。




わたしは言われた通り保健室に来た。





「失礼しまーす…」



起こさないようにそっと扉を開けた。




「桜庭くん…?」



ゆっくりとカーテンを開けると、桜庭くんはまだ眠っていた。
熱あるせいか、なんとなく、顔が赤い気がする。



起こすべきか悩んでいると、枕の隣に置いてある携帯が鳴った。
悪いと思っていても、誰からなのか気になってしまう。



「ごめんなさい、少しだけ…」



携帯の画面を恐る恐る覗いてみる。



─── 七瀬 碧



と表示されていた。
ななせ、あおい?みどり?



その名前を見て、クミちゃんの言葉を思い出した。



「彼女、だったりして……」

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