桜色オレンジ
「帰ろうと思って駅に行った時に声をかけられて、場所を教えて欲しいって言われて…その人がしまさんって知らなくて案内しちゃった。」
「……」
「案内した後に名前教えて貰って、しまさんだって知ったの。」
「…そう」
「ごめんなさい。余計なことして…」
桜庭くんが怖くて、思わず涙がぶわっと出てきてしまった。
こんなタイミングで泣くだなんて、余計に怒らせてしまうだけなのに。
「いや、いいよ。いずれバレると思ってたから」
「…」
「それに今んとこあの日以来来てねぇし」
「…そう、なんだ」
「逆にごめん、辛かったよな」
そう言ってわたしの頭を優しく撫でる桜庭くん。
絶対怒ってるはずなのに、気を使わせてしまった。